ワシントンポスト、新型コロナの起源についての記事

 新型コロナウイルスの起源についての新たな記事が、ワシントンポストに掲載されている。新型コロナウイルスのスパイクタンパク質上には、「furin cleavage site」と呼ばれるタンパク質分解酵素「furin」によって切断された箇所がある。この「furin cleavage site」があることによって、新型コロナウイルスの人への感染力は、約1000倍に高まったといわれている(*)。新型コロナウイルスは、果たして、どこで「furin cleavage site」を獲得したのか。

 2013年に中国の雲南省の洞窟に生息するコウモリから検出されたRaTG13というウイルスは、新型コロナウイルスと96.2%類似している。つい先日、ラオス北部の洞窟で発見されたコウモリからは、新型コロナウイルスと96.8%類似するウイルスも検出されている。しかし、どちらのウイルスも、「furin cleavage site」を獲得していない。

 武漢ウイルス研究所では、コウモリから検出された複数のコロナウイルスを組み合わせて、新しいキメラウイルスを合成するという実験が行われていた(関連記事は、こちら)。そのキメラウイルスが、新型コロナウイルスである可能性は低いと考えられているが、武漢ウイルス研究所で、いわゆる「機能獲得実験」が行われていたことは確かである。

 また、武漢ウイルス研究所は、ニューヨークに拠点を置くEcoHeallth Alianceの研究パートナーとして、米・国立衛生研究所(NIH)から資金を受け取っていた。NIHの資金が、武漢ウイルス研究所での「機能獲得実験」あるいは、それに関連のある研究に使われていたということが、米国内でも問題となっているが、今回のワシントンポストの記事は「Project DEFUSE」と呼ばれる別の研究計画に着目している。

 「Project DEFUSE」は、EcoHealth Allianceが、米・国防高等研究計画局(DARPA)の研究資金を得るために提案していた研究計画である。その研究計画には、コロナウイルスに「furin cleavage site」を組み込むという実験が含まれていた。「Project DEFUSE」には、武漢ウイルス研究所も参加することが決まっていた。しかし、DARPAは、「機能獲得実験」が含まれているという理由で、「Project DEFUSE」の研究計画を却下している。

 ワシントンポストの記事では、「武漢ウイルス研究所は、独自で、そのような研究を進めたのだろうか?」と推測されている。

Opinion: To prevent the next pandemic, we must find the source of covid-19. China’s stonewalling is unacceptable

The Washington Post, October 11, 2021

https://www.washingtonpost.com/opinions/2021/10/11/covid-origin-wuhan-china-stonewalling-must-stop/

(*)「furin cleavage site」と新型コロナウイルスの感染力については、こちらの論文をご参照ください。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32647346/